エコツアー大賞
著者プロフィール

吉田千春(よしだちはる)

吉田千春

フリーライター。海外旅行業界紙の記者を経て、ワーキングホリデーでニュージーランドへ。帰国後は、国内外のガイドブックやロングステイ関連本の取材・製作などに携わる。ワーホリ時代にハマったトレッキングが本格化し、ここ数年は冬山も通っております。

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ニュージーランドハイキング vol.22

穴場中の穴場!ワイトゥトゥ(ハンプリッジ)・トラック

ワイトゥトゥ・トラック編 その1


 前々回のマナポウリ・トラックの項で、私はこんなことを書いた。
 「やっぱり知名度が低いトラックというのは、見るべきところが少ない、ということなのだろうか。有名ではなく、訪れる人も少ないが、実はとても楽しいという山は存在しないのだろうか」

 超地味なトラックである「マナポウリ」を歩いてみて、モノの見方次第で山歩きは楽しくもなるし、つまらなくもなる、と私は学んだつもりである。地味ぃ~な景色の中にも自然の営みがあって、それに触れることで、感銘を受けたり、リフレッシュできるものだと実感した。
 だがそれは、かなり大人びた山の捉え方だとも思う。結果としてマナポウリは良かったけれど、他のどんな場所を歩いても、何らかの楽しみを見出せるとは到底思えないし、その域に達するには相当の修行が必要なのも事実だ。
 だって、これといった変化も華もない風景を見て「いやぁ、侘びさびの世界だねえ」とか「これでいいんだ。何もないままで....」などと、若い女性がつぶやいていたら気味悪いではないか。「老成しとるがな!」と関西人にツッこまれそうである。
 つまり、私のようなお子ちゃまトレッカーが山で感動するには、ジャジャーン!と効果音が付くような、インパクトのある風景が必要なのだ。高台からの眺望とか澄み切った湖とか、あと花畑? てゆーかビーチ? すっごーい、マジでコレいいじゃんって感じ?(.....失礼しました)

 で、前置きが長かったけれど、最初の問いに戻るとですね。有名ではないが、見るべきところが多く、歩いて楽しいというトラック。それがワイトゥトゥ・トラックなのであった。

 

知る人ぞ知る、ユニークなトラック

 このトラックは、フィヨルドランド国立公園の南東の海岸線に伸びている。ニュージーランドの地図で説明するなら、南島の一番下の海岸線の左半分だ。前半は森と砂浜を交互に歩く、景色の変化が楽しい道。後半は、1920年代に木材を運ぶ列車が走っていた線路や巨大な木橋が残っており、枕木を踏みながら歩くという、珍しいトレッキングが楽しめる。

海岸沿いにある山小屋、ポートクレイグ・ハットは、材木業が盛んだった頃の集落内の小学校の建物をそのまま生かしたものであり、他のトラックにはない歴史を感じることもできる。さらに、このトラックは大きな川を何本も超えるので、途中で歩くのを止めてジェットボートで帰るということも可能なのだ。

 そんなユニークな場所にもかかわらず、場所の悪さからだろうか。このトラックは、地元の人の間でも有名とは言いがたかった。
 だが、私がニュージーランドに滞在していた98年当時でさえ、ワイトゥトゥ・トラックは近い将来、グレートウォークに認定されるだろうとの噂があったほどだから、この道を歩いた人はみんな、その魅力に気づいていたのだと思う。
 当時、このトラックはガイドブックにも紹介されていなかったので、日本人旅行者は本当に少なかった。そんな場所を、なぜ私が知り得たかというと、イギリス人の同居人、レイチェルが探してきたからだ。
チャーリー、いいトラックがあるらしい。一緒に行ってくれない? 私が全部、手配するからさ」
「うん。どこだか知らないけど、行こう行こう」。
 ワイトゥトゥという名前を聞いたのは初めてだったが、彼女がすべて準備するというので、のんきな私は何の情報も集めなかった。だが、それがかえってよかったのかもしれない。ワイトゥトゥのトレッキングは、いつも以上に、驚きに満ちていた気がする。

 

ルートも名前も変わってます

 で、2003年現在。この道がどうなっているかというとですね。DOCではなく「トゥアタペレ・ハンプリッジ・トラック・トラスト」という3回言ったら、舌がもつれそうな名前の団体が管理しており、トラックの名前もハンプリッジ・トラックと変わっている。またルートも大きく変更された。
 ワイトゥトゥ・トラックは、海から内陸に伸びるハンプ・トラックと、海岸沿いに伸びていたサウスコースト・トラックが接するY字型のトラックだったが、現在はこの2つのトラックを結ぶ道が作られており、全長53キロのループとなっている。

 さらに、グレートウォークと同じく予約制になっており、ひとつの山小屋に泊まれるのは1日40人までと入山規制もある。またガイドウォークもあり、料金は3日でひとり990ドル。説明を読んでみると、食事やお茶はすべて用意してもらえ、荷物は次の目的地へとヘリコプターで運んでくれるとのことだから、雨具と水くらいの軽い荷物で気楽に歩けるのだろう。
 個人で歩く場合の山小屋の宿泊費は、1日あたり1泊40ドルと相当いい値段だが、水洗トイレがあったりガスの調理器があったりと、設備も備わっているらしい。  

 というわけで、私の記憶の中のワイトゥトゥ・トラックと、現在のハンプリッジ・トラックとはかなりの差があるようだ。だが幸か不幸か、我々が歩いたルートは、現在も残っている部分なので、どんな感じかお伝えしよう。.......と思ったのだが、長いので、やっぱり次回にします。乞うご期待。

VOL.23へ続く

楽園を歩くニュージーランドハイキング目次 Vol.23